アユ

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アユ(鮎)は、キュウリウオ目・アユ科に分類される魚。川と海を回遊する魚で、日本では重要な食用魚でもある。

成魚の全長は 25cm ほど。全身は灰緑色で、胸びれの上に黄色の点があるが、秋には橙色と黒の婚姻色が発現する。口は大きく目の下まで裂けるが、唇は柔らかい。歯は丸く、櫛(くし)のような構造である。

東アジア一帯に分布するが、このうち奄美大島の川には亜種リュウキュウアユ が生息する。沖縄県では1980年代にリュウキュウアユが絶滅したが、奄美産のものを1992年より放流している。 また、滋賀県の琵琶湖には、湖沼陸封型のいわゆるコアユが生息し、琵琶湖内で成長したのち、湖に流入する河川に遡上して産卵・受精を行なっている。

生活史
アユの成魚は川で生活し、産卵も川でおこなうが、仔稚魚は一時的に海で生活する。このような回遊は「両側回遊」(りょうそくかいゆう)と呼ばれる。ただし琵琶湖などに生息する湖沼陸封型(いわゆるコアユ)は海の代わりに湖を利用する。

9月-2月頃、親のアユは川の下流にくだり、砂や小石の多い浅瀬で集団で産卵する。ふ化した稚魚はシロウオのように透明で、心臓やうきぶくろなどが透けて見える。

ふ化後の仔魚は体長約6mmで卵黄嚢を持ち、0〜数日のうちに海あるいは河口域に流下する。そこでカイアシ類などを捕食して成長する。体長約10 mm程度から砂浜海岸や河口域の浅所に集まり、カイアシ類や仔魚などを捕食し、成長する。このころからスイカの香りがする。この独特の香りは、コケに由来すると信じられてきたが、実は不飽和脂肪酸が酵素によって分解された時の匂いである。 体長35mm程度まで成長すると稚魚になる。稚魚は翌年4月-5月頃に5〜10cm程度になり、川を遡上するが、この頃から体に色がつき、さらに歯の形が岩の上のケイソウ類を食べるのに適した櫛(くし)のような形に変化する。川の上流から中流域にたどり着いた幼魚は、石に付着するケイソウ類(こけ)を歯でこそげ落とすように食べる。アユが藻類をこそげ取ると岩の上に紡錘形の独特の食べ痕が残り、これを特に「はみあと」という。

多くの若魚は群れをつくるが、特に体が大きくなった何割かの若魚はえさの藻類が多い場所を独占して縄張りを作るようになる。縄張りは1匹のアユにつき約1m四方ほどで、この縄張り内に入った他の個体には体当たりなどの激しい攻撃を加える。この性質を利用してアユを釣り上げるのが「友釣り」で、釣り人たちが川で釣竿をふるう様子は日本の初夏の風物詩である。

夏の頃、若魚では灰緑色だった体色が、秋になると橙と黒の独特の婚姻色へ変化する。親のアユは産卵のため下流域への降河を開始するが、この時期のアユがいわゆる「落ちアユ」である。産卵を終えたアユは1年間の短い一生を終えるが、稀に越冬する個体もいる。

漁法
縄張りの性質を利用した友釣りや刺し網、投網などで取れる。産卵期には川を下る習性を利用し、簗を使って捕ることもある。他にもウミウを利用した鵜飼いによる漁法も有名である。一般に水産資源確保の目的で11月-5月は禁漁となっている。

美味さ ★ ★ ★ ★ ★
食べ方 塩焼き・唐揚げ
かなり美味しい!
高級食材のため養殖も盛んに行われるが、養殖ものは天然ものと似て非なるもので、「香魚」の香りはない。

アユは香魚ともいわれるように、ウリに似た香りを放つ初夏の若アユが美味とされ、若アユの塩焼きや天ぷらは珍重される。同じ河川のアユでも水が綺麗で上質の付着藻類が育つ上流域のものほど味が良いとされる。

また、アユをそのまま輪切りにした「せごし」は歯ざわりと爽やかな香りを楽しめるが、アユは横川吸虫という寄生虫の中間宿主である。それほど重篤な症状は引き起こさない寄生虫ではあるが、せごしに限らず生食はあまり勧められない。

腸を塩辛にした「うるか」は珍味として喜ばれる。うるかにするためには、鮎の腹に砂が入っていない(空腹になっている)夜間を狙って漁獲する必要がある。

語源
アユの語源は、古語の「アユル」から来たものだとされている。アユルとは落ちるという意味で、川で成長したアユが産卵をひかえて川を下る様からつけられた呼び名である。

現在の「鮎」の字が当てられている由来は諸説あり、アユが一定の縄張りを独占する、つまり占めるところからつけられた字であるというものや、日本書紀にでてくる話に神功皇后が今後を占うために釣りをしたところ釣れた魚がアユであったため占魚とあてられたものがある。

古くは1年しか生きないことに由来する「年魚」、体表の粘膜に香りがあることから「香魚」、鱗が細かいことから「細鱗魚」などがあてられていた。アユという意味での漢字の鮎は奈良時代ごろから使われていたが、当時の鮎はナマズを指しており、記紀を含め殆どがアユを年魚と表記している。現在の鮎が一般的に書物などにあてられたのは平安時代・室町時代ごろからとされる。中国での鮎は古代日本と同様ナマズを指しており、アユは香魚(シャンユイ)と記す。

ちなみに俳句の季語として「鮎」「鵜飼」はともに夏をあらわすが、春には「若鮎」、秋は「落ち鮎」、冬の季語は「氷魚(ひお)」として、四季折々に季語がある。

posted by さかな博士 at 10:04 | 湖・川の魚
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