コイ

〓〓.gif
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

コイ(鯉)とは、コイ目・コイ科に分類される魚。急流でない川や池などに生息する淡水魚である。


特徴
外見はフナに似るが、頭や目が体に対して小さく、口もとに2対の口ひげがある。体長は 60 cm 程度だがまれに 1 m を超すものもいる。飼育された個体は体高が高く、動きも遅いが、野生の個体は体高が低くスマートな体つきで、動きもわりと速い。

もともとは中央アジアが原産だが、環境適応性が高く、現在は世界中に分布している。なお日本のコイは大昔に中国から移入された「史前帰化動物」とされたこともあったが、琵琶湖など各地に野生のコイが分布し、第三紀の地層から化石も発見されていることから、やはり古来から日本に自然分布していたとされた。


生態
川の中流や下流、池、湖などの淡水域に生息する。飼育されたコイは流れのある浅瀬でも泳ぎまわるが、野生のコイは流れのあまりない深みにひそんでおり、産卵期以外はあまり浅瀬に上がってこない。滝を登るということがよく言われるが、コイはジャンプが下手で滝を登ることはない。ただし小型の物は2m程度の高さまでジャンプすることがある。

生命力は極めて強い、長寿であるのはさることながら、汚い水でも平気で生きられる程の環境適応能力があり、しかも水から上げてしばらく水の無いところで置いていても、他の魚に比べて長時間生きられるようである。

食性は雑食性で、水草、貝類、ミミズ、昆虫類、甲殻類などなんでも食べる。口に歯はないが、のどに咽頭歯という歯があり、これで硬い貝殻なども砕き割ってのみこむ。なお、コイには胃がない。

産卵期は春から初夏にかけてで、この時期になると大きなコイが浅瀬に集まり、バシャバシャと水音を立てながら水草に産卵・放精をおこなう。一度の産卵数は50万-60万ほどもある。卵は付着性で水草などにくっつき、数日のうちにふ化する。

稚魚はしばらく浅場で過ごすが、成長につれ深場に移動する。魚にしては長寿の部類で、平均20年以上、まれに70年を超す。鱗の年輪から推定された最長寿命記録は220年だが、これは信憑性が疑問視されている。


文化
黒以外のコイを色鯉(イロゴイ)、特に赤い鯉を緋鯉(ヒゴイ)、特に鑑賞魚として色彩や斑点など、体色を改良されたものを錦鯉(ニシキゴイ)という。特に錦鯉にはその模様によって多くの品種があり、紅白、大正三色、昭和三色、黄金、浅黄などがある。

錦鯉は飼育用として人気が高く、斑点模様、色彩の鮮やかさ、大きさ、体型を価値基準として高額で取引されている。また、鱗が大きくて部分的にしかないドイツゴイも移入されている。

また、錦鯉は日本の国魚である(後述、錦鯉を参照)。これに対して、ふつうの黒色のコイは烏鯉(カラスゴイ)または黒鯉(クロゴイ)、特に野生のコイはノゴイとよばれる。なお飼育型のコイは尾びれの下半分が赤く染まっているものが多く見られる。

コイは飼育だけでなく、川やダムなどに放流されることも多い。コイは体が大きくて見栄えがするため、「コイが住めるほどきれいな」水域という趣旨で自治体レベルでの放流もよく行われる。しかし、コイはもともと汚染に強いので、「コイがすんでいる=きれいな水」ではない。

市街地の汚れた河川を上から眺めれば、ボラと放流されたコイばかりが目につくということが多々ある。しかもコイは各種水生生物を貪欲に食べてしまうので、往々にして河川環境の単純化を招く。生物多様性の観点からすれば、もともとコイがいない水域にコイを放流するのは有害ですらある。

釣りの対象魚としては、日本の湖沼河川においてバスフィッシング、ヘラブナ釣りなどに並んで人気のある魚で、釣り場では置き竿を林立させている光景が良く見られる。

鯉はやはり大きく育つ点に釣魚としての魅力があり、その強力な引きに醍醐味がある一方、中小型はビギナーでも楽しめる。狙い方は練り餌を用いた吸い込み釣りや、ぶっこみ釣り、浮き釣りが基本だが、まれに多魚種狙いであたることもある。

餌は甲殻類やミミズ、タニシ、そしてサツマイモや、マッシュポテトに小麦粉を加えた練り餌など、バリエーションは多彩である。竿やリール、糸などは強力なものが必要だが、高い道具は必ずしも必要ではない。しかし、専門に狙っていくとやはり高級な道具を使ったほうが良い。基本的に回遊している鯉を待ち伏せるような「待ち」の釣りなので、のめり込んだ人は夜どおし狙うことも多い。


中国では、「鯉が滝を登りきると龍になる登龍門という言い伝えがあり、古来より尊ばれた。その概念が日本にも伝わり、江戸時代に武家では子弟の立身出世のため、武士の庭先で端午の節句(旧暦5月5日)あたりの梅雨期の雨の日に鯉を模した鯉幟(こいのぼり)を飾る風習があった。

明治に入って四民平等政策により武家身分が廃止され、鯉幟は一般に普及した。現在ではグレゴリオ暦(新暦)5月5日に引き続き行なわれている。

プロ野球の広島東洋カープの球団名は、広島城の異名・鯉城(りじょう)にちなむ。


美味さ  ★ ★ ★ ★ ★
食べ方  アライ・コイコク・甘露煮
毒     胆嚢(たんのう)に毒性あり

コイは生命力が強い魚で、滋養があるとされ、妊婦などの栄養補強にもよいとされる。

食材としてのコイは、福島県からの出荷量が最多である。

捕獲したコイはきれいな水を入れたバケツの中に半日-1日程入れて泥を抜かないと泥くさい。捌く時は濡れた布巾等で目を塞ぐとおとなしくなる。

ただしコイの胆嚢(苦玉)は苦く、これをつぶすと身に苦味が回るため注意して捌かなければならない。そればかりか胆嚢には毒性があり下痢や嘔吐をすることがある。その反面、視カ低下やかすみ目などに効果があるとされ、鯉胆(りたん)という生薬名で錠剤にしたものが販売されている。

日本では鯉こく(味噌で煮込んだ汁)、うま煮(切り身をさとう醤油で甘辛く煮付けたもの)、甘露煮にしたり、さらには洗いにして酢味噌や山葵醤油を付けて食べる。また、鱗を唐揚げし、スナック菓子のように食べることもある。中華ではから揚げにしてあんをかけて食べる。

中欧や東欧では古くからよく食べられており、ポーランドでは伝統的なクリスマスの夕食にはコイが欠かせない。東欧系ユダヤ教徒の魚料理「ゲフィルテ・フィッシュ」の素材としても、コイがよく用いられた。しかし北米では、コイは水底で餌を漁るために泥臭いとして敬遠されており、釣り(遊漁)の対象魚とはされても食材として扱われることは極めて稀である。


錦鯉

日本庭園にて錦鯉は、普通の鯉を観賞用に養殖した変種である。

中国の西晋時代(4世紀)の書に、さまざまな色の鯉について言及されているが、錦鯉を育てることは19世紀の新潟県で始まったと一般的に考えられている。田で働く農民が、一部の鯉が他のものより明るい色をしているのに気づき、それを捕まえて育てたとされる。

(通常であれば他よりも明るい色は鳥やその他の捕食者に見つかりやすいため、その魚は生存しにくくなる。)それ以降養殖は進み、20世紀までには数多くの模様が開発された。もっとも顕著なものは赤と白の「紅白」と呼ばれるものである。1914年の東京博覧会に出品されるまでは、開発の程度が世に知られることはなかった。この東京博覧会から、錦鯉への関心は日本中で爆発的に広まった。

さらに、錦鯉を飼う娯楽はプラスチック袋の発明以降世界に広まり、飛行機や船の技術の進歩により、錦鯉の輸出は速く安全なものとなった。これらの要因により、錦鯉を低い損耗率で、世界中へ輸出できるようになった。錦鯉は今や、ほとんどのペットショップで広く売られており、専門のディーラーを通せば特に高い品質のものを買うこともできる。

なお、以後新潟県では錦鯉の養殖が国内でも有数に盛んになるが、2004年の新潟県中越地震により、旧山古志村を始め、一時壊滅的な被害を受けている。また、コイヘルペスウイルスにより廃業になった業者もいる。


錦鯉の変種
錦鯉の変種は、その色、模様、鱗の有無で見分けることができる。まず主な色としては、白、黒、赤、青、緑、黄色、紫およびクリーム色がある。また、錦鯉には鱗に金属のような光沢があるものがあるが、こういったものは金鱗・銀鱗と呼ばれる。

また、ほとんど全ての種に対して鱗のない変種がある。日本のブリーダーはそれらをドイツゴイと呼んでおり、日本産の錦鯉とドイツ産のカガミゴイを交配することで鱗のない変種を作り出している。

それらドイツゴイには側面に大きな鱗を持つものもいるが、まったく鱗のないものもいる。また、バタフライコイ(1980年代に開発された、長くゆったりと垂れるひれが特徴的)は、実際にはアジアコイとの交配種であり、本物の錦鯉とはみなされていない。

可能な変種は限りないが、ブリーダーは特定のカテゴリーで識別し命名している。もっとも知られたカテゴリーは御三家である。御三家とは、紅白、大正三色、および昭和三色の三つである。日本のブリーダーは錦鯉を育てることにかけては何世代もの知識と経験を有している。どの個体が数百ドルの値打ちがあり、どれが数千ドルになるかすら分かっているのだ。


主な錦鯉の品種一覧名前のついた主な変種は次の通り:

紅白 − 白い肌に赤い模様がある。最もポピュラーな品種。
大正三色 − 白い肌に赤と黒の模様がある。
昭和三色 − 黒い肌に赤と白の模様がある。
浅黄 − 上面に薄青い鱗があり、下部に赤い鱗がある。
秋水 − 部分的に鱗がついた浅黄の変種。
べっ甲 − 白、赤、黄色の肌に黒い模様がある。
移り物 − 赤、白、または黄色の模様がある黒いもの。
五色 − ほとんど黒で、赤、茶色、青のアクセントが入ったもの。
黄金 − 無地のもの。普通のものか金属光沢がある。色には赤、橙、プラチナ、黄、クリームなど。
変わり物 − その他のタイプのもの。


鯉の飼育
普通の鯉は頑丈な魚で、錦鯉もその頑丈さを受け継いでいる。小さな器から大きな屋外の池までどんな場所でも飼える。ただし、鯉は90センチメートルまで育つことがあるため、鯉の大きさに見合う水槽または池が必要になる。

伝統的な屋内用アクアリウムは、丸いプラスチックの桶ほどには好ましくない。鯉は冷たい水を好む魚であるため、夏に水が暖かくなる地方では池を1メートル以上の深さにするのが望ましい。冬に寒くなる地方では、全体が凍ってしまわないように池を少なくとも1.5メートルにするのは良い考えである。空気バブラーと桶形ヒーターを備えた広い場所に置くのもよい。

錦鯉は明るい色をしているので、捕食者に対しては格好の標的となる。紅白は池の深緑色に対比したとき、視覚的な晩餐のベルのようなものである。サギ、カワセミ、アライグマ、ネコ、キツネ、およびアナグマなどには、池中の鯉を食べつくしてしまう能力があると言ってもよい。

適切に設計された屋外の池は、サギが立てないだけの深さと、哺乳類の手が届かないような水面上のオーバーハング、および上空からの視線を遮るために上を覆う木陰を備えている。

池の上面を網やワイヤーで囲う必要もあるかもしれない。但し、山間に近い場合、稀に絶滅危惧種の水辺を好む野鳥がかかる事があり網は避けた方が良い。また池は、水を清潔に保つためのポンプと濾過システムを備えていなければならない。

鯉は底で餌をとる魚であるが、沈む餌は食べ残しが水質を悪化させるおそれがあるため、単に栄養バランスが取れているだけではなく、水に浮くように作られているも餌を与えると飼育の手間がかからないとされる。

水に浮く餌を与える場合には彼らが餌を水面近くで餌を食べている間に、寄生虫や潰瘍がないかチェックすることもできる。鯉は餌をくれる人を識別するので、餌の時間になると集まってくる。

彼らは手から餌を食べるように教えることもできる。冬には消化器系の動きが遅くなりほとんど停止するので、餌はほとんど食べなくなり、底の水草をかじる程度になる。春になり水が温まるまでは食欲は戻らない。

日本では1990年代ころから観賞魚として熱帯魚が主流になってきているが、海外では錦鯉人気が上がってきている。インターネットの普及に従い、インターネット販売も広まっている。

産卵、孵化、稚魚の飼育などの方法は金魚と同じでよい。ある程度成長するまで金魚との識別が困難であるため、鯉と金魚を区別したい場合は、金魚と別の容器で飼育することが望ましい。


錦鯉の放流と生態系の破壊問題
近年環境問題が重視されるようになって河川の環境保護等に力が注がれている。そうした活動のうちに自然の河川に魚を放流する事業があるが中には地元の固有種とは関係の無い錦鯉等本来自然界に存在すべきでない改良品種までもが放流される事が多くなっている。

錦鯉の自然界への放流に因って地元の固有種との交雑が起こり、何万年もかけて築かれてきた固有種の絶滅が懸念されている(遺伝子汚染)。この放流問題は人間の自然への観念の低下によりまたブラックバス問題の影になって余り重視されていない。

このことは人間が自然を固有の歴史ある貴重な財産であることを忘れ、単にきれいにならば、単に魚がいれば良いなどと考えるようになったのが原因と指摘する声もある。

この問題はメダカに関してもいえることである
posted by さかな博士 at 02:54 | 湖・川の魚
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。